遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

ヤブコウジ(ヤブコウジ科) 第175章 2015年1月号

タイサンボクの木陰に、高さ20㌢ほどで赤い実をつけたヤブコウジが自生しています。落ち葉の中で他の草花との相性も良く、互いの美しさを引き立て合っています。
和名藪柑子は、藪に生え古くから栽培されていたコウジ(小形のミカン)に見立てたのが由来です。別名「十両」や「ヤマタチバナ」とも言われています。『万葉集』では、山橘として詠まれています。常緑の小低木で、夏には可愛い白い小花を下向きにつけます。晩秋に7㍉ほどの球形の赤い実をつけ、地下茎を伸ばして殖えます。日陰や寒さにも強く、葉は年中深緑色で、まばらに付けた実は翌春まで付いています。根は薬用で、生薬名は紫金牛(シキンギュウ)で利尿、咳止め、解毒作用があります。江戸時代には葉の変わった品種の栽培が盛んでブームになったそうです。
ヤブコウジはセンリョウ、マンリョウ、ナンテンの実などと同様、正月の飾りに用いられます。特にヤブコウジが「おめでたい」と言われるのは、いつまでも同じ葉と同じ実をつけ続けるからです。私は、古典園芸植物のヤブコウジを鉢物に仕立て、床の間に飾り清々しい気持ちで新年を迎えます。

床清し赤い実二つ藪柑子

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