遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2025.05.01

タチツボスミレ(スミレ科) 第299章 2025年5月号

「このスミレ昔からあったよね。薄紫の花が固まって咲いているよ。本当にきれいだね」
大清水の友達は農家なので、昔からあった可憐な野の花をとってもよく知っています。
和名立坪(たちつぼ)菫(すみれ)は、名前の立ちは、花茎が立ち上がるようになるため、庭などに生える菫、「坪菫」が命名の由来のようです。葉はハート形、高さ10㌢程、色は淡い紫色の花をたくさん付けている株があれば、タチツブスミレでしょう。もう一つは、葉の付け根にある托(たく)葉(よう)です。托葉は櫛(くし)の歯状に切れ込んでいます。早速、野草園に出て葉の付け根を見ると、櫛の歯のように切れ込んでいたので間違いありません。「百聞は一見にしかず」です。多年草のスミレは、日本全国に広く分布する身近な花で、種類は極めて多いようです。日当たりの良い山野に自生しています。
松尾芭蕉の有名な句に、
山路来て何やらゆかしすみれ草
この句は予想通り、タチツボスミレでした。タチツボスミレは、花や葉を食用として利用できます。軽く茹でてお浸しに、天ぷらにしたりします。花は吸い物に浮かべると風情があります。とっても上品で美味しかったです。

園の隅仲良く咲きし菫かな

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