遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.19

ワイルドオーツ(イネ科) 第123章 2010年9月号

「小判に似ているよ。正月飾りのお多福と一緒の縁起物だね。初めて見たよ」
小菅のご夫妻は珍しそうに眺めています。こぼれ種で繁殖し、コバンソウが枯れる頃、ワイルドオーツの穂が出始めます。
和名偽小判草は、コバンソウに似ているのが由来です。別名セイヨウコバンソウやカラスムギとも言われています。日本に自生しているコバンソウはふっくら丸みを帯び楕円形なのに対し、帰化植物のワイルドオーツは、花穂は麦を押しつぶしたように平べったく吊り下がり、耐寒性もあります。どちらも同じイネ科の多年草で、いろいろな場所に移動して生えるので、まるで「雑草の旅人」のようです。ペン先のような葉は、とても硬くしっかりして草丈七十センチもあります。見た目では、その辺の道端の草と変わりませんが、風に揺れる草姿で目を楽しませてくれます。控え目な脇役で、和洋問わず利用できるので、ドライフラワーとしても人気があります。
夏の盛りに佐倉市の川村記念美術館を訪れた時、入口の花屋さんにワイルドオーツがひらひら揺れていました。この花穂が黄金色に色づく頃、秋の気配が漂い始めます。

夏草にひときわ目立つ偽小判

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